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ミライニツナガルナニカ

人事採用コンサルタントの前田が日々感じたことを中心に書いています。

“40代に即戦力需要”の裏側にある課題

採用の仕事

本日は日経新聞の記事から・・・。

転職者が7年ぶりに300万人規模に回復

・・・ざっとキーワードを拾いますと、

  • 2016年は7年ぶりに転職者数が300万人の大台を突破
  • 10年前の2006年の転職者数は346万人(その後リーマン)
  • 35歳以下の転職者層は比率も実数も減っている
  • 45~54歳の転職者数は50万人で、02年以降で最多、且つ増加傾向
  • 転職後の給与が転職前より上がる傾向も
  • ベテランの管理職らのニーズが強まっているらしく
  • 専門性の高い人材の需要も大きい
  • 転職で元の職場よりも年収が「増えた人」は15年に初めて「減った人」を逆転
  • 転職先企業が内定後に、現企業が給与引き上げて退職を引き留める例も

www.nikkei.com 

・・・と、個人側にとってはまさに、“(転職するかしないかは別として)転職活動による処遇改善”が現実味を帯びてきています。

まさに流動性が高まっているわけですが、リクルートワークス研究所さんのレポートも合わせて見てみると興味深いことがわかります。

2016年度上半期に中途採用を実施した理由として、「欠員補充のため」が71.2%と高く、「自社の業績の変動により人材 が必要となったため」39.3%、「新事業や新規出店により人材が必要となったため」22.2%となっている。 従業員規模別に見ると、規模が大きくなるにつれ「欠員補充のため」の割合が減り、業績の変動や新事業・新規出店を 理由とする割合が高くなっている。(リクルートワークス研究所 中途採用調査より)

中途採用調査 | 調査結果

全体としては、“欠員補充のため”を理由として回答している企業が70%以上というのは人手不足時代の現在では驚くことではないですが、規模が大きくなるにつれ~新事業・新規出店を理由にする割合が高くなっているとのことです。

つまり好業績を背景に、規模の大きな企業は攻勢に出始めていて、即戦力として活躍が期待できる人材であれば、年齢が少し高くても、給料が少し高くても、採用している実態が見えてきます。

組織マネジメントの方法を見直す必要があるはず

流動性が高いトレンドにおけるマネジメントは、従来の前提条件が崩れてきます。具体的には、“今の組織にいる人材がいつ何時いなくなるか分からない”ということです。

特に活躍している人材であればあるほど、その人材が転職したときのダメージは計りしれません。

SNSを始めとするソーシャルメディアの活性化により、個人での情報発信の機会が格段に増えた結果、特定のキーワードで個人を検索することがとても簡単になりました。

個人を検索することができたら、アプローチすることはとても簡単です。直接メッセージを送る事もできるかもしれませんし、エージェントにスカウトしてもらうことも簡単です。

優秀な人材には多くの機会と触れることができますし、ダイレクト採用やリファラル採用を積極的に推進する企業が増えていることは、逆に自社の優秀人材もそのターゲットとして狙われているということです。

そして、ビジネスアワーがとても速くなりました。いい悪いはおいておいて、世の中のサービスの作り方や展開の仕方が速くなりました。ちょっと話はそれますが、自動車の開発にしたって、実験的に新機能をリリースする時代です。自動運転技術が身近になった一例としても昨年話題となった日産セレナというミニバンのリリースの仕方をみていると、時間軸をとても大切にしていることがよくわかります。

当然、安全面や環境面でのリスクを考慮した上での話ですが、機能や周辺環境やユーザー側の準備が100%整わなくても、市場に展開し、反応を見て、改良を加えていくという商品・サービスの展開の仕方が主流です(スマホのアプリはその典型ですね)。

www2.nissan.co.jp

 

高速化したビジネスアワーがもたらしているもの

この“ビジネスアワーの高速化”は、採用業務以外の人事管理面において重要な課題を提起しています。一般的な6か月ごとの人事評価では間に合わないケースへの対応という課題です。

期首に目標を立て、半年後に振り返ってレビューする、という枠組みは、就いている業務が同じであり、且つ、“半年間は課題が変わらないこと”が前提です。

実際に僕自身の体感としても、10年前は自分に課せられたミッションは半年間は機能しました。全てではないですが、会社からの示された課題、期待に応える事で半年後に成果を棚卸をし、上司にフィードバックをもらい、次の課題設定をするというルーティーンが機能していたのです。

ですが、5年位前からは、職場自身が変わったこともありますが、以前よりもスピードが必要となり、半年前に決めた目標を変えざるを得ないケースの方が多くなってきました。

実際にマネジメントとしても、期末のフィードバックが難しくなります。期首にたてた目標と、今やっている仕事がずれてきています。本来は途中で目標そのものを変更すべきだったのかもしれませんが、そこまで機能させられませんでした。

新しい事業や新しいポジションは魅力的

少し話を戻します。

先に“規模の大きい企業が攻勢にでている”と書きました。新しい事業、新しい営業所など、新しい環境、新天地を用意して求人をしているわけです。結果として、その新しい環境、新天地での業務が吉とでるか凶とでるかは、事業環境や本人の能力次第ですが 、新しい環境がその従業員にとって“魅力的”と映るかどうかがポイントになります。

  • 同業界のライバルが攻勢をかけているから自社に残って頑張ろうと思うのか
  • 今の会社を飛び出してライバル企業でチャレンジしたいと思うのか

 優秀な人材ほど、流出した時の自社のダメージは大きく、ライバル企業への戦力増強効果が高くなります。

その優秀な人材を、自社で引き続き活躍してもらうには、そして他社の優秀な人材を獲得し、引き続き活躍してもらうには、ひいては自社の戦力を継続的に強化し、成果を上げ続ける組織にしていくためには、何から始めることが必要でしょうか。

 その課題は各社でそれぞれ異なりますが、しいて挙げるとするなら

“その会社らしさを明確にすること”

かと思います。

簡単に解決できる課題ではないのですが、“その会社で働く理由”をより明確にできた会社が、その会社にとって優秀な人材を魅了し、結果としてパフォーマンスが向上していくことは間違いありません。

僕自身も人事領域からその実現のお手伝いをしたいと思っています。

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(珈琲を楽しむ場所であっても、珈琲の味だけではお店を決めませんよね)