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ミライニツナガルナニカ

人事採用コンサルタントの前田が日々感じたことを中心に書いています。

その採用活動にストーリーはありますか?(中編)

採用の仕事

※今回は「正社員の中途採用」というシーンを想定しての記事です。よって、アルバイト・パート採用とは戦術が異なりますのでご了承くださいませ。

 前回は;

どんな「ペルソナ」さんにどんな情報をどういう方法と順番で展開していくかという「情報発信マップ」の組み合わせが「ストーリー」なんです。 

と書きましたので、今日はその続きで、馬に水を飲ませるがごとく、求職者に情報に興味を持ってもらうにはどうすればいいのかというお話しです。

好況時は求人数が増えるので、個人側が複数の選択肢から選ぶことができるようになっています。しかしそれは“選択肢”になっていての話でして、多くの企業がその予選すら勝ち抜けず、検討されないまま求人をし続けている状況にあります。

求職者の目に留まりにくい求人の共通点はいくつかありまして、例えば;

  • 仕事内容が分かりにくい
  • 写真付きの求人広告なのに、その写真がなんとなく人が映っているだけ
  • もしくは抽象的なイメージ写真
  • 年収の高さと休暇の多さを前面に打ち出している

という求人広告には誰も興味を持ちません。

採用で大事なのは、「何人の応募者を集めたか」ではなく「何人採用したか」ですし、もう少し突っ込んで言えば、「活躍が期待できる人を何人採用したか」です。

どれだけ多くの応募者を集めたとして、選考基準に達しない人ばかりでは意味がないですし、仮に選考基準に達している人がいたとしても途中で辞退されてしまったら元も子もないです。

大切なのは“人数は少なくていい”ので、会社の成長に貢献できる人材と出会い、その求職者に向けて自社の興味を持ってもらうことです。

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(“未経験者歓迎”は使い方を間違えると・・・)

 

一方で、一つの求人広告サイトを見ていても、対象を絞り込んでメッセージ性を高めている広告は、詳細画面をクリックしてみたくなります。

例えば、ある営業職の募集広告では“負けず嫌いな人を募集”と銘打ってながら、実際はまだ“負けず嫌いになりきれていない”人に刺さる広告になっているものがありました。

要は;
“負けず嫌いな人募集”としていながら“負けず嫌いになりたい人募集”
ということなんですね。

自分の周囲を見回して、負けず嫌いで、達成意欲が高くて、いつも元気で色々と成功体験を勝ち得ている人っていると思います。そういう友人を見て“自分もそうなりたいけどそこまではなれなかった・・・”という気持ちを持つ人、学生時代や新卒入社で入った会社では、トップ集団に入れなかったけど、悶々としている人、でこちらの会社に入って、成果を出して“自分にもできた!”と成功体験を積んだ方がいらっしゃるのでしょう。

その社員の方をモデルにして、その人が“それは興味持つなぁ”と思うような、キャッチコピーや写真やコンテンツを軸に広告を作られたのかなと推察しました。

世の中は言うに及ばず、会社の中にも色々なタイプの人材がいます。そして、一般的には多くのタイプの人材でもパフォーマンスが発揮できるように仕事の仕組み化や教育をしています。そのため、採用人数が多く、採用が苦戦すればするほど「色々なタイプの人材からみて魅力的」と感じてもらう広告になりがちですが、むしろ逆効果です。

あなた一人に届けばいい

採用活動はマーケティング活動にとてもよく似ています。そういう意味で「ペルソナマーケティング」は採用にも有効です。集客の世界では“理想の顧客像”を作るという意味でペルソナを作りますが、採用は“理想の社員像”を作るでいいと思います。

その“理想の社員像”は、できるだけ具体的な人物像を描くことが大事です。

名前、性別、年齢、住所、学歴、社歴といったような履歴書の要素はもとより、
現職や前の仕事など、職務経歴書の要素に相当する内容も設定し、
前の会社に入った理由や今回の転職理由など“面接で聞きそうな内容”も設定し、
趣味や家族構成や価値観など“面接では聞いていけない内容”も設定します。

そして、そのペルソナさんの“情報との接点”を設定します。SNSの使い方だけでなく、友人とのコミュニケーションツール、週末の過ごし方や、新聞は紙で読むのかWebで読むのか読まないのか(笑)まで、できるだけ細かく設定します。

そして、その設定した情報に矛盾がないか、無理がないかを俯瞰してみましょう。

ペルソナを作ると「こんな人が応募者にいたらいいのにな」と思うかもしれませんが、間違えてはならないのは、“理想の社員像として描いたペルソナ”と“採用選考における求める人物像(選考基準)”は同じではないということです。

確かに“ペルソナまんま”の応募者がいたら、それはとても素晴らしいことですので、全身全霊で口説きにいけばいいのですが、そうは簡単には物事は運ばないでしょう。

でも、ペルソナに基づいて、ストーリーを意識した情報発信マップを作ることで、“ペルソナ=理想の社員像”に近い人材が興味を持ってくれる可能性が高まります。

これが、「単に応募数が多いけど選考の対象がいない」というバランスを欠いた採用活動との大きな違いになってきます。

 

確かにペルソナをしっかりと作りこむことは、それなりに工数がかかりますが、“採用の軸”となる部分ですので、しっかりと描いてみるといいと思います。

次回は、このペルソナに対してどういう情報発信マップを作るのかについて書きたいと思います。