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ミライニツナガルナニカ

人事採用コンサルタントの前田が日々感じたことを中心に書いています。

リファラル採用2017 ~導入検討のポイント④

採用の仕事

人材採用の手法の一つであるリファラル採用。
その導入を考えるプロセスの中で、躊躇してしまうポイントを探るテーマで書いています。始めたほうがいいのは分かるけど、どうしても躊躇してしまうポイント、“モヤモヤポイント”の探索です。

前回のモヤモヤポイントは「採用成果として足りないと考えているから」という題で書きました。リファラル採用では手にしたい採用成果に届かないと思うから始められない、というモヤモヤに対する僕なりの意見を書いたつもりです。

今回は次のお題目として「社員が動かないと考えているから」について書こうと思います。ただし、ボリュームが多いので今回は「リファラルのメカニズム」を消費行動モデルを使って考えるところまで書き、次回は「そのメカニズムを動かすポイント」という様に2分割で書こうと思います。

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ではあらためて「社員が動かない」とはどういうことか。

リファラル採用を始めるぞ」と社内に号令をかけたところで、どうせ社員は動かないから、号令をかけるだけ無駄だよという思いからリファラル採用を始めないということです。もしくは、すでに号令をかけてみたところ、社内の反応が薄く、発起人の“独り相撲”になってしまっている・・・という状況もあるかと思います。

こういう状況下でリファラル採用の展開を考えるときは「消費行動モデル」を用いるとモヤモヤが整理されます。

採用活動はマーケティング活動

一般的に採用活動はマーケティング活動に近いと考えられています。もしくは「採用活動はマーケティング活動だ」と断言する方もいらっしゃるほどです。

人事業務の対象者は原則として“社内”の従業員です。人事制度というルールの上で一方で採用活動の対象者は“社外”人材です。社外人材に情報を伝播し、自社に興味関心を持ってもらう、そしてそれらの活動には、“強制力を働かせられない”ことという前提があります。それには消費行動モデルを用いることで、自社の採用活動のメカニズムを理解しやすくなると考えられます。

消費行動モデルには、100年以上前から提唱されているAIDAM(アイドマ)モデルやAISAS(アイサス、電通が商標登録)、AISCEAS(アイシーズ)など様々なモデルが発表されています。最近はDECAX(デキャックス)というモデルもあるようで、一番最初の頭文字がA(attention、注意)ではなくD(discovery、発見)になるなど、色々な変化があるなぁと感じます。

その中でリファラル採用をモデル化するのに近いかなと感じたのが “Dual AISAS”というモデルです。

dentsu-ho.com

広めるためのAISASと応募してもらうためのAISAS

従来のAISASモデルだけでなく消費行動モデル全般に言えることですが、対象のサービスなり商品なりの“情報”を一つの塊として捉えていました。それがこのDUAL AISASモデルでは「広めるためのAISAS」と「買ってもらうためのAISAS」の二つの層があるということです。詳細はこちらのリンク見ていただきたいのですが、二つの層という定義はリファラル採用をモデル化するには最も近いのではと考えます。

というのも、リファラル採用では求人情報を「広める人」と「応募する人」という2種類の立場のヒトが必要です。それぞれが違う立場、かつそれぞれが自由意志を持っていて、「広める人」と「応募する人」が何らかの人間関係があって、その人間関係の中で情報が広まり、応募プロセスへと流れていきます。

社員が自分の友人・知人と“職”に関するコミュニケーションをとる場合を考えてみましょう。社員がその友人・知人に対して

「今日、時間をとってもらったのは他でもない。ウチの会社の求人に応募してもらいたいと思ってね。」

などとストレートに話すでしょうか?? 実態としては、社員は自社の求人情報を伝えるために会う約束を取り付けることは考えにくく、それこそ “別の話題の会話から、ふとしたことで仕事の話になって・・・” という成り行きで話すというのが一般的です。その成り行きで、自社の求人の話をするか、他社を含めた一般論を話すか、ふーんと聞き流すか、で展開が変わるわけです。

ポイントはActivateということ 

Dual AISASの考え方に倣うと、

  • 自社の求人を他に広めるための「A+ISAS
  • 自社の求人に応募してもらうための「AISAS」

の2層で表現すると考えられます。“広めるための「A+ISAS」”は、“応募してもらうための「AISAS」” の “Attention(注意≒知ってもらう)”を補完するものであることがわかります。

要は、社員の知人・友人に“知ってもらう”を加速させる取り組み、できるだけ多くの知人・友人にその話をしてもらうための取り組みが、同じAでも“Activate(活性化する)”という考え方なのです。 

では、具体的に広めるための「A+ISAS」の動きを想像してみましょう。ここからは、本当の消費モデルとは違う行動のため、少し表現含めて味付けをしています。

まず、社員自身が自社求人の情報に興味を持つところ(Interest)からスタートします。「ウチの会社の求人ってどんな内容なんだろう?」というレベルです。

リファラル採用活動そのものや、求人内容を知った社員が、ごく身近な関係者(多くの場合、同じ部署の社員)に「ウチの会社の求人ってこんな感じみたいだね」と共有や発信(Share)をします。

その情報を聞いた社員は、最初に話をした社員とは違う感情を持つ可能性があります。例えば、「知らなかった!乗り遅れているかも」という感情かも知れませんし、「自分もそういう求人情報があることは知っていたけど、コイツも動いているとは・・・」かもしれません。この時に単なる情報から「感情を取り込んだ情報=見過ごせない情報」に昇華するパターンがあります。これを受容・共鳴(Accept)と表現してもいいと考えます。

情報に感情が取り込まれると、当初のシンプルな「共有・発信(Share)」から「伝播(Spread)」と加速されることになります。
「ウチの会社ってこういう求人があるんだ」から「アイツもなんか動いていたな。俺も動いてみるか。そういえば今度飲み会あったしな」と、受動的な共有から主体的な伝播へ変化します。

この流れがあると、それ単体では「世の中にありふれている求人情報」が「特定のヒトにとっては見逃すことのできない求人情報」へと活性化(Activate)するのです。

「応募してもらうためのAISAS」は他の手法と同じ

一方、応募者にとっての求人情報との接触は、求人広告でも人材紹介でも大きな違いはありません。従来通りのAISASモデルである程度説明がつきます。実はリファラル採用で考えるべき行動モデルは、応募者の行動モデルではなく、仲介者の行動モデル「広めるためのA+ISAS」を考える事に意味があることがわかります。

そこで次回は、「広めるためのA+ISAS」で活性化されない理由を探っていきたいと思います。

※Dual AISAS Modelはアタラ合同会社の有園雄一氏により考案され、電通プロモーション・デザイン局で有園氏とともに検討・改良を加えたものです。