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ミライニツナガルナニカ

人事採用コンサルタントの前田が日々感じたことを中心に書いています。

リファラル採用2017 ~導入検討のポイント②

採用の仕事

 

今回はリファラル採用2017~導入検討のポイントの続きです。

前回は、リファラル採用にはポジティブな可能性として、転職顕在層や転職潜在層の両者に接触できるということを書きました。今回はリファラル採用にはネガティブなリスクがほとんどない、ということを書きたいと思います。

リファラル採用を始めることに躊躇する理由はなんだろう?

これも僕が見聞きしたことのある範囲ですが、多くは以下の様なコメントでした。

「手間の割に成果がでなさそうだから」

おそらくこれをお読みになっている経営者や人事系責任者の方もそう思っている方も少なくないのかもしれません。

これ、わかります。

リファラル採用は、広告費や人材紹介料を払わない採用手法だから、その分「手間」をかけて進めると理解されています。その手間は誰が行うかというと「現場の従業員」ですので、「現場にそんなことをさせられない。人事が頑張ればいい」という意見もわかるといえばわかります。

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リファラル採用を導入するリスクと言えば、細かい運用上の話はありますが、一番はこの「手間」をどう考えるか、に尽きるといっても過言ではありません。

でも、それでも、リファラル採用は現場を巻き込んででも推進したほうがいいのです。

理由は2つあります。

  • 採用活動はコストではなく投資と考えたほうが合理的である
  • リファラル採用で発生する手間は間接部門のコストではなく営業活動である

この2点について考えを述べます。

採用単価議論は時代と合わない

一つ目の「採用活動のコスト」についてです。
採用活動のパフォーマンスを測る指標として「採用単価」という言葉がよく使われます。“1名採用するのにいくらのコストがかかるか”という数字であり、採用単価が低いと「コストパフォーマンスのよい採用活動」とされています。でも、この採用単価の概念は注意しないと本質を見誤る指標となります。

“採用単価”の概念は、本来「買い手市場傾向」における採用活動の評価指標です。

前提条件として「求めるレベルの人材が採用できている」上で、その活動にいくらの対価を支払ったか、を検証するときの指標です。

採用単価が上がったとか下がったという話は、他社のそれと比較していいとか悪いなどと比較しても意味がありません。あくまで自社の採用予算とのかい離を見るに過ぎないデータですし、過去の採用単価と比較したところで、採用規模や採用職種が違っていれば、その過去との比較も意味がありません。

さらに今は「超」がつくほどの売り手市場。ということは、従来の方法では経験値や能力などの基準を満たす人が採用しにくいどころか、そもそも応募者の母集団作りすらままならない状況です。採用目標数や採るべきポジションを完遂できなかった時点で“採用単価”を見たところで、未達は未達です

採用単価だけで議論するということは少ないかもしれませんが、

  • 採用基準を変えたか変えなかったか
  • 採用した人材の給与レベルは適正かどうか
  • 合計人数だけで考えていないか、採用の緊急度や優先度への対応はどうか

など、採用した人数とその経費だけで考えることはとても危険です。

そしてそもそも、「採用コスト」という考え方が、時代に合わなくなってきているのではないかと感じています。それはなぜか。

企業における人材への期待が高度化していることと関連があるように感じます。具体的には、第四次産業革命、IOT、AIといったキーワードがありますが、「ヒトでなくてもいい作業」「ヒトじゃないほうがいい作業」がどんどん増えています。

「〇〇の仕事が機械に奪われる」という刺激的な記事も発信されていますが、確かにヒトを雇うより機械を使った方が生産性が高い作業というものが増えています。

Webサービスが広まったおかげで、物理的な距離をやすやすと超えるようになりました。物流サービスの進化で時間すら超えるようになりました。

そして、ヒトには何をさせればいいのか、を経営者は考えなくてはなりません。そこであらためて考えるべきなのが「経営リソースとしてのヒト」です。

あらためて考えましょう。なぜヒトを採用するのかと。それは会社として業容を拡大させ、利益を拡大させることが目的です。営業部員の採用は間違いなくそうですが、間接部門人材の採用も同様です。その人件費を投下しても利益を増やすために必要だから雇います。

ですから、考えるべきは、「1名従業員を採用すると、営業利益はいくら増やせるのか」です。その採用のための採用コストは「人材投資」です。ROI(投資対効果)の観点で採用活動を考える時代になっていると考えています。

リファラル採用は営業活動

続いて「リファラル採用活動の手間はコストではなく営業活動である」についてです。
リファラル採用を導入するときに、自社の棚卸をするケースが多いです。自社の従業員に、自社をどうアピールしてもらうか、を考えるからです。

ここで、経営者、管理職層、従業員の間に大きな情報ギャップがある事が発覚することがよくあります。平たく言うと「自社の従業員は、経営者が思っている以上に自社のことを知らない」ということです。

 ですので、リファラル採用活動を社内で展開すると、今まで知らなかった自社の強みや特徴を知るきっかけになります。改めて企業理念やビジョンを学ぶこともありますし、直接の製品やサービスではなく、人事制度を含めた従業員向け施策などの理解を通じて、他社にはない自社ならではの取り組みに会社へのロイヤリティが高まることもあります。そのことを知人・友人に伝達する行為がリファラル採用です。求人情報を伝えるだけではなく、まさに営業活動であり、営業活動ゆえに、展開すれば展開するだけ自社の情報が世の中に伝達されていくのです。

リスク、ありますでしょうか?

スイッチを入れることができるのは経営者だけ

文頭に「手間の割に成果が出なさそう」というコメントを紹介しました。確かに現時点で十分な採用ができている企業であれば、いいのかもしれませんが、そのような会社はどれだけあるのでしょうか。

少子化、労働力不足、売り手市場など、人的リソースの確保はどんどん難しくなっていきます。リファラル採用は、従来の活動では出会えなかったかもしれない応募者との出会いに繋がる可能性があり、ネガティブなリスクも特にないことがお分かりいただけたと思います。

でも、全ての企業でリファラル採用が上手くいくかというと、結果がわかれてしまうのも事実。今までの考え方や活動の仕方を変えるということには違わないので、経営者の後押しが欠かせないのです。

「ウチの会社は、リファラル採用を積極的に推進していく」

という宣言が必要です。経営者の宣言さえあれば、あとは何とかなります。ただし、経営者の宣言がないリファラル採用は空回りで終わります。

実際に、リファラル採用で成果を上げている企業は、経営者がコミットメントをしています。定期的に実績値をモニターしたり、全社にメッセージを配信したりと、採用活動が最重要経営課題であると全社に伝えています。

 

リファラル採用は企業規模や業界業種に関係なく、導入できる手法ですし導入すべき手法です。

なのですが・・・「そうは言っても」というモヤモヤがあって始められない状況もあります。次回はそのモヤモヤについて僕の考えを書いてみたいと思います。